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医師の言葉

抗がん剤治療の順番待ちをしていた頃の話です。

婦人科の医師とおしゃべりしていたとき、「大腸がんでも大丈夫。アバスチンができたから、あと2~3年は生きられるよ」と、さらっと言われたことがあります。

私がいつも笑って受診していたからだと思うのですが。だから医師もさらっと言ったのだと思うのですが。はぁ、2~3年、ですか、と思ったものです。


話は変わりますが、2年くらい前になるのかなぁ、伯父が、くも膜下出血で倒れ、意識がなくなりました。70代の伯父夫婦は子供がなく、高血圧気味だったので病気も予見していたらしく、常日頃、伯母に「もし倒れても延命措置はするな」と言っていたそうです。

なので、救急搬送された時も、すぐ手術を、という医師に対し、伯母は拒否したそうです。

そのまま、おそらく2~3日以内に死亡するでしょう、と言われたそうです。私も伯父の病院に駆けつけ、関東近郊の親戚もみな集まってきました。

あとは死ぬだけ、となった伯父の姿をみて居たたまれなくて、「死ぬのが決定しているなら、もう楽になってほしい」と思いました。

伯母は葬儀を検討しはじめ、従姉たちが生前の伯父の希望(散骨方法)の叶えられる業者を探してきました。

あとは死ぬだけ、という状態でした。

でも。伯母は、土壇場で、「やっぱり手術してください」と言ったんですね。

医師は、もう手遅れだと思うけどやってみる、というような返事だったと記憶しています。

手術しました。でも意識は戻りません。助からない、という医師の言葉は変わりませんでした。


が!!!!!!

いま、ぴんぴんしてますよ(笑)

目が覚めた伯父は、伯母によれば「手術してよかった~」と言っていたらしい(笑)

もちろん倒れる前のようには体は戻っていません。認知力もかなり低下しました。でも元気です。私が入院したときもお見舞いに来てくれて、がん研の病院内を探検していました。

そう、伯父は、歩き回るのが大好きな人だったんです。知的好奇心も旺盛。校長をやっていたので保護者や教育委員会の前でストレスも大きかったようですが(伯父も教育委員会に籍はあったはず)、それを吹き飛ばすかのように、色々なところに散歩に出かけていました。

これが、同じ運動好きでも、「ゴルフ好き」とかだったら話は違ったと思います。ゴルフしたくても簡単に毎日行けませんよね?伯父は散歩好きだったから、意識が戻って動けるようになったらすぐに散歩をしたくなったようです。

ベッドにいるのがつまらないから、とにかく外へ出たがった。病院内のすべてを知りたがった。

この行動が、伯父のリハビリも早めたと思う。「病気だから」とふさぐことがなかったんですね、たぶん。

脳をやられた分、ちょっとアホっぽい発言もするようになったけど、私は今の伯父も好きです。


で、最初の話に戻るのですが、伯父の担当医は「必ず死にます」的なことを言っていました。でも、伯父は生きている。やはり、医師は「最悪のこと」を話すものなんだ、と、その時に思いました。

訴訟も増えているらしいし、モンスターペイシェントもいますもんね?医者にかかれば絶対治ると信じている人も多いですもんね?

医者にだって助けられないこともあるのに。だから、もちろん医療ミスとか医療過誤は話は別ですが、医師は最善の努力をしても助からないことを想定して、最悪のことを言うのだな、と。

伯父が「死にます」宣言されていたのにいま元気なことで、「あの医者は嘘を言った。憎たらしい!」とはならないけど、「助かるかもしれません」と期待させて死んでしまったら、「うそつき!!!」となりますもんね。

癌になったら、だれでも「あと〇〇年」とか「生存率は〇〇」とか「再発の確率は〇〇」とか言われると思います。それは、統計上は中間値や平均値であっても、患者個々人にとっては「サイアクの数字」なのだと思っています。

だから、とくに全身状態が比較的いい場合は、医者の言葉よりもかなり上の数字を期待していいと思っています。医者は、医療訴訟を避ける方法も座学で学ぶらしいですからね。サービス業みたいに。

医者の言葉を鵜呑みにせず、いまの自分に本当に必要な情報だけを採用しながら、治療していきたいものです。

誰かが言っていましたが、「医者に治してもらう」のではなく、「自分が医者を利用して治す」のです。と私は思っています。


ここ2~3日ですっかり寒くなりました。先々週の金曜日から続いている風邪がまだ治りません。もうすぐ2週間。明日の午後からゼローダ休薬なので、いいかげん治るかな?(^o^)
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コメント

無・・・

伯父さん良かったですね、うちの旦那も「覚悟をしておいて」と言われたにも関わらず今は元気ですもん。葬式の事も考えましたけど。

前に私もドクターに転移しても治療しませんと言ったらあっさり「ほな間違いなく死ぬ」と言われた時唖然としました。
そんなに人の命を安易に根拠もなく決め付けて言っていいのでしょうかねって思いましたもん。

>「大腸がんでも大丈夫。アバスチンができたから、あと2~3年は生きられるよ」

よく言いますよね、考えられない言葉に悲しいです。
神経が麻痺してるのか、あFourなのか、自分が彩さんの立場だったらとかは考えない人なのかな? 医者も人間だろ?って言いたい!
彩さんその時婦人科の医師に何か言ってやったんですか?

>麻花さんへ

私は、医師が残酷な言葉を言ってもあまり気にならないんですよ。たぶん、通院しているのが癌専門病院だからってのもあると思う。次から次へと重病人が来るから、一人一人の患者の心情まで考えていられないと思うんです。スーパーマンじゃないから。

よく、看護師は受け持ちの患者が亡くなっても絶対に涙を見せないといいますよね。それと同じことだと思っています。プロだから。きっと、心の中では、辛いんだと思いますよ。

心の痛みのケアは医師ではなくケアセンターみたいな所が受け持ってくれるので、そっちで不満を言う人はたくさんいるようです。分業が出来ていると思っています。

言われた時には私は冷静に、「その根拠を教えてください」と言います。記事で書いた婦人科の時は、その前に腫瘍内科で統計データを見ていたので、婦人科でも「そーなのね」としか思わなかったです。医師が私を傷つけるために言っているはずがないからね。

「アバスチンができたから治るよ!」なんて言われていたら、そっちのほうが信頼できなくなります(笑)自分自身が、自分の病気を冷静に受け止めて勉強しないといけないと思っています。

麻花さんの先生が「治療しないと死ぬ」と言ったのも、言葉面だけきいた私としては、麻花さんに治療をしてもらいたくて出た言葉なのかな、と思いましたが、ちがうかな。見当はずれで気分を悪くしたら、ごめんなさいm(__)m

No title

叔父さん、手術してなかったらそのまま亡くなっていたと考えると、ちょっと怖いです。
生還しても脳や身体に重篤な障害が残る可能性が高いから、このまま死なせてあげた方が、本人にとって幸せかも?って思うのでしょうね。

私の主治医はあまり患者が不安になるような言い方はせず、確率やデータを元にQOLを考慮して話をしてくれます。
ただ、こちらから聞かなきゃ話してくれない省エネな方なので、話好きな私としてはもの足りないのですが(^_^;

天気予報で、晴れ予報で雨になると抗議の電話がかかるけど、雨予報で晴れても文句は言われない、って聞いたことあります。
・・・ちょっと違うか。

No title

うちの父も6年前に脳梗塞で倒れ、右半身まひと失語症がありますが、本人の努力で歩けるようになり、今ではパチンコ屋まで歩いて行って一日中大好きなパチンコがやれるまでになりました。医者からは「奇跡」と言われています。
医者はありとあらゆる事を想定して最悪な場合を説明するものだと思っています。医者も人間ですから、間違いもありますしね。でも、信頼関係がないとうまく治療もできないと思います。
知りたい情報などは医者の頭の中にあるのでしょうから「医者を利用して病気を治す」って考えいいですね。

自分自身の病気を冷静に受け止めて...本当に私もそう思います。再発後、抗がん剤治療を始めた頃の担当医師はとにかく優しくて、言葉をオブラートにしっかり包んでくれていました。1年後担当医師が抗がん剤専門女医先生に代わって説明される言葉のストレートさに驚き落ち込み泣いたりしてました。でもそのなんの飾りもオブラートのない自分自身の現状を知って覚悟がきまりました。(決まったとはいえ未だに震えるほど怖くなって泣いたりしますけどね(^^ゞ)
しっかり把握して胸の奥で覚悟を決めて希望も捨てず...ですね。
伯父様のお話、希望と勇気が湧きますね。

へたくそな文章、長々とごめんなさい。
彩さん、風邪お大事に...。応援しています。

主人の会社のひとは。

6年くらい前、うちのひとの会社の先輩が肺ガンに。同時に糖尿病も患っていて、もう3か月の命と、余命を宣告されました。家族のみなさんは当然とても悲しまれ、主人もショックで落ち込んだり悩んだり。それは秋のころでお正月は迎えられないかも…という話でした。
が、毎年年賀状がきます!抗がん剤が思いのほか効いて今は元気です。こんなことって…あるんですね。お医者さんって、最悪のことを考えて話をするんだ、って、わたしも思いました。

わたし、新潟県在住です。原発や拉致問題で有名なK崎市です。あは、みんな知ってますね。

>毒遊さんへ

天気予報の苦情と同じことだと思ってます。患者は、期待通りの結果にならないと不満が募る。それを医師にぶつける。だから医師は苦情にならないようにあらかじめサイアクのことを言っておく。もちろん、科学的根拠(データ)には基づいて。厳しいことを言っておいて実はそうではなかった、というほうが、最終的な“顧客満足度”は高いはず(苦笑)

すべての医師がCSを意識しているとは思わないけどね。

私が働いている店で、価格表示が間違っていた場合、実際より安く表示されているとお客さんは怒りますが、高く表示されていて実は安かった、という場合はお客さんはみな笑顔です。そんなもんです。

>とんとん子さんへ

医師との信頼関係は、大切ですよね。同じ言葉を同じ状況で言われても、信頼してる医師とそうでない医師の場合は、受け止め方も全然ちがいますよね。

「患者力」という本があったと思うんですが、それを読んでみようかな?と思った時期があります。でも、体力も精神面もきつい時期だたので、余計なことで煩わされたくなくてやめました(苦笑)

私は初発のときの医師との関係がとても悪かったので、あの時もっと信頼できる医師と出会っていれば、と思ったりもしました。いまはもうなんとも思わなくなりましたがね~(^^)

>名無しさんへ(笑)

言葉をオブラートに包んで、でも中身(本論)はしっかり飲み込ませてくれるような医師が理想ですね。私は、オブラートを剥いて中身を確かめる人なので、医師にとってはバンバン言いやすい患者かもしれません。

オブラートだけ飲ませる医師が一番いけないと思っています。

私も、一人で暗くなっていることよくありますよ。泣くことも。昨日もお風呂でウルウルしていました。みんな同じですね。

>なっちぃさんへ

抗がん剤がきくと、予想外に(?)長生きするみたいですね!抗がん剤って悪者扱いばかりされるけど、実際役に立っている人も多いのに、って思います。

抗がん剤で治っても「当たり前」だけど、代替療法で治ると「珍しい!」となるので、代替療法で完治した話がもてはやされると聞いたことがあります。

話がそれました。なっちぃさん、新潟なんですか。記事に書いた伯父も出身は新潟です。ちょっとだけ、奇遇?!関係ないけど、私は長野の出身です。お隣かな。

ありがとう♪

>麻花さんの先生が「治療しないと死ぬ」と言ったのも、言葉面だけきいた私としては、麻花さんに治療をしてもらいたくて出た言葉なのかな、と思いましたが、ちがうかな

そうだといいなって思います(*゚▽゚*)
癌専門病院って、システム化してるんですね。

>麻花さんへ

全部の病院がシステム化されているわけではないのに、私、麻花さんの気持ちをわかっていなくて、ごめんなさい。システム化にまで手が回らない病院のほうが多いですよね。全部の病院が患者に優しい病院になればいいのにって思います。。。
麻花さん、今はいろいろ不安だろうけど、時間がたてば少しずつ楽になれると思います!ありきたりな言い方だけど、気楽にがんばりましょう、お互いに。

No title

「医者に治してもらう」のではなく、
「自分が医者を利用して治す」のです。

この気持ち大事にされていて素晴らしいです。
自分の身体は自分がよく知っていますものね。

余命宣告はかなりひどいと思ったことがあります。
でも、自分の身体は自分が知っているので
医師に宣告されたことを間に受けず、自身の感覚を大事にして生きたいですね。

>時さんへ

はい、そうですよね。医者が「あと2~3年」と言ってても、自分はこんなに元気だし。とつぜん悪化することもあるとは思うんですが、そこまで心配してもつまらないから、考えないようにしています。

治すのは、自分。自分の意志と、自分の免疫力で、自分が治るものだと思っています。「医者に治してもらう」のは手術で完治する場合だけかなぁ?
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プロフィール

彩

Author:彩
2012年12月、S状結腸癌再発。腹膜播種、卵巣転移。
初発は2010年ステージ3aでした。根治手術からちょうど2年後の再発でした。
現在は、標準治療を終えて、ホスピスで緩和ケアを受けています。
東方神起の復活まで生きたいなー。ムリかな(^^;)

2016年3月20日永眠

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